2022/02/11 17:17
小樽と軟石は、切っても切り離せない関係にある。
北海道で軟石といえば、「札幌軟石」が有名です。札幌には、軟石を使用した倉庫や蔵、また、外装材として軟石を使用した住宅が街中に点在しています。彼の有名な大通公園と交わる「石山通り」も軟石を切り出す石山へつながる道として、その名が付けられています。
小樽にも、軟石を使用した倉庫、蔵が点在しています。それは一般の住宅に付属している蔵から、店舗として利用されているものまで、合わせて100棟-(1)を超える数が現存しています。その由来には、小樽がこれまで生業としてきた産業があります。
小樽が発展してきた際、産業の中心となっていたのが海運産業です。
内陸から鉄道などで運ばれてきた荷物を貯蔵し、港や運河から船で世界へ運ばれていました。また、その逆も然り。
軟石が普及する要因となるのが、上の文の中にある「貯蔵する」という部分です。
かつての小樽では火災が頻繁に起きており、その数は明治期で計24回。その度に、街は全焼に近い状態になっていました。
そんな火災から身を守るために、編み出されたのが建築物に軟石を使用することでした。
当時、木材の輸入出も盛んであったため、木材を構造とし、軟石でそれを覆うことで、貯蔵される物品を守っていました。
桃内の軟石採石場
海運産業が発展するとともに、必要とする倉庫の数も増え、より多くの軟石が必要になりました。もとより、手宮や奥沢で採れた軟石を使用していましたが、桃内や天狗山、朝里など採石場の開拓も進み、一般宅の蔵にも使用されるほど軟石が普及しました。
現在の小樽運河の石造り倉庫が織りなす風景があるのは、かつて、海運産業が栄えたからこそなのです。
小樽内で採れる軟石は総称して「小樽軟石」とも呼ばれます。今回は、その「小樽軟石」に焦点を当ててみました。
Focus 3.
-参照-
(1) 小樽 蔵めぐり イラスト帖 から